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      『安愚樂鍋』と氣質物 -人物像の類型性に關する小考-

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      https://www.riss.kr/link?id=A87017090

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      국문 초록 (Abstract)

      明治初期に執筆された『安愚樂鍋』に關する先行硏究は、主に作品と明治初期の社會像との關連性を追求している。このような硏究は充分になされていると思われるので、本稿では『安...

      明治初期に執筆された『安愚樂鍋』に關する先行硏究は、主に作品と明治初期の社會像との關連性を追求している。このような硏究は充分になされていると思われるので、本稿では『安愚樂鍋』を文學の側面から考察してみたい。個個の人物像を通して明治初期の文明開化を理解する先行硏究を踏まえて、近世の氣質物の流れの上にある本作の人物描寫をより具體的に分析し、『安愚樂鍋』の人物の類型性の意義を究明したいからである。『安愚樂鍋』の人物は皆牛店で酒を飮み牛肉を食べるという側面から文明開化の影響下にあるが、それぞれの文明開化に對する認識の度合いは區區であると言えよう。このため『安愚樂鍋』の人物像は大きく分けると精神的には近世の中にいて開化への認識がほとんどない類型、開化による西洋化の現狀認識の類型、および西洋化の必要性を認識する類型とに分けられる。ここに、西洋化の必要性を認識する類型は文明開化により己れの屬している身分、社會的背景等の境遇を打開しようとする者と見受けられ、「個人の欲望」としての「氣質」を有すると言える。したがって、『安愚樂鍋』の人物像は江嶋其적の『世間娘容氣』以降、上田秋成の氣質物の中に描かれた人物と同類として理解できる。つまり、社會と「個人の欲望」の狹間で飜弄されつつも己れの境遇の打開を圖る「氣質」を有した者として捉えることができる。一方で、開化の影響下に暮しつつも精神的には江戶時代の中にとどまっている類型は全く式亭三馬の『酩酊氣質』、『浮世風呂』、『浮世床』と通ずるのである。彼らは開化の影響で肉食はするものの開化による世相の變化を認識できず、世相の變化を「個人の欲望」の解消へとは繫げられない類型であった。その姿は三馬の戱作に登場した人物達と大差ないように見受けられるのである。つまり、『安愚樂鍋』に登場する精神的には近世にいる類型は周圍の人物と融和をはかり、己れの屬した身分や職業の類型性をほとんど表さない、只の飮兵衛としての姿として描かれるのである。そして、『安愚樂鍋』ではこの類型が「個人の欲望」としての「氣質」を有する類型より多く見受けられる。以上、『安愚樂鍋』では其적、秋成の先行氣質物で描かれた社會と葛藤する「氣質者」が一部描かれている点から、氣質物の傳統を受け繼いだとも言える。一方で、精神的に今だ近世の中にいる類型がより多く描かれ、三馬の戱作の人物像の影響を受けているとも言える。このように『安愚樂鍋』の人物像から本作品が明治初期の全く新しい人物像を描いたとは言えないが、同時に近世以降描かれ續けた「個人の欲望」としての「氣質」を有する類型が姿を潛める一方で、周圍と融和し、「個人の欲望」を露にしない者が描かれ續けた實情をも物語っていると考えられる。

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