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「北槎聞略」に描かれた日本人のイメージ -ロシア側文献でのイメージと比較して-
Kadyrlyeyev V. 한국일어일문학회 2012 日語日文學硏究 Vol.80 No.2
本稿では、18世紀-19世紀初頭のロシア文献における日本人のイメージがどのようなものだったのかを考察した。18世紀初めのロシア帝国における日本人に対するイメージは17世紀半ばのヨーロッパに書かれた書物での日本人のイメージがロシア語訳され、刊行される。1718年に"Descriptio Regni Japoniae"と題する書物がロシア語に翻訳され、そして1734年に"Beschryvinghe van het machtigh koningryk Japan"のロシア語訳本も出版さた。それらの文献では、日本に関する一般的な情報だけが記されていた。しかし、初めて日本人のイメージが書かれている"О состоянииАзии и новейших переменах Китая, Японии, Персии и Мунгалии впоследнее время"(1784)と題する書には、日本人は傲慢で野蛮な人間だったということが紹介されている。日本人の否定的なイメージである。一方、"Новые ежемесячные сочинения"と題するロシア人によって執筆刊行された雑誌では、迷信深い、慇懃という評価を別とすれば、利口、遠謀、温厚、好奇心が高く、勤勉で、勤倹であり、かつ冷静的で、正直であるなど、そこに書かれている日本人のイメージは肯定的なものが多い。18世紀終ー19世紀初頭にラクスマン、レザノフ、ゴロヴニーンという遣日使節が派遣され、直接で日本人に会った。彼らの記録には日本人の肯定的なイメージが書かれているた。大黒屋幸太夫によって書かれた北槎聞略での日本人の漂流民のイメージは、特に"Новые ежемесячные сочинения"に見られるイメージと、ほぼ一致している。それは迷信深さ、謙虚な姿、勤勉な姿という漂流民に対するイメージである。北槎聞略では日本人の否定的なイメージがほとんど見られない。北槎聞略が江戸幕府に提出するものとして書かれた書物であるという限界があるからであろう。
日本語學,日本語敎育學 : 『魯西亞覺書』における語中子音の片假名表記 -語中二、三、四重子音の片假名表記-
( Kadyrlyeyev V. ) 한국일어일문학회 2010 日語日文學硏究 Vol.75 No.1
『魯西亞語覺書』は大黑屋幸太夫のロシア語能力に基づいて作られた日魯辭典である。18世紀のロシア語單語、日常會話の表現、ロシア語の文法を見出すことができる貴重なものである。特に本稿では『魯西亞語覺書』における語中子音の片假名表記に關して考察を試みた。ロシア語には語中子音の組み合わせが多く、それを表わす片假名表記がどのようになっているのか。その片假名表記が正しいものなのか、また、ロシア語の發音として適切な表記であるのかという問題を明らかにするために、例文をあげながら片假名表記を詳しく考察した。問題点としては、一番目の子音の片假名表記がどのように記されているかということであった。その結果を表1に整理し、次のようなことがわかった。語中二重子音の組み合わせの多樣性ため、それを表わす片假名表記も、語頭二重子音の片假名表記と比べると多樣化している。また『魯西亞語覺書』を編纂した人にとって、表記の選定がロシア語という外國語であるため、困難を伴ったであろうこともわかった。さらに、語頭二重子音の場合と比較し、語頭二重子音の片假名表記よりも語中二重子音の表記の方がより多樣なものとなっていることも明らかにした。語中二重子音の場合は新しい片假名表記が多く採用されているのである。また、語頭二重子音を表すために使っていた片假名表記で、語中二重子音の場合には採用されていない表記もあるということがわかった。本稿では語中二重子音のみならず、ロシア語にしばしば使われるる語中三重子音と語中四重子音の片假名表記の特徵に關する考察も行なった。今後の硏究としては『魯西亞覺書』の單語における子音と母音組み合わせの片假名表記とその特徵について明らかにしていきたい。